公開: 2023年3月30日
更新: 2023年4月19日
米国社会には、29の立法行政司法単位があり、そのうち12の司法単位が、死刑を刑罰として残しています。代表的な州としては、カリフォルニア州やテキサス州などの西部の州が有名です。逆に、北部のニューヨーク州やニュージャージー州では、死刑が廃止されています。
西部の州に死刑を残した例が多いのは、19世紀にヨーロッパ諸国から、新しく建国されたアメリカ合衆国の東海岸に、移民としてやって来た人々が、幌馬車隊を編成して、西海岸へ向かって進んで行った、歴史的背景があります。この間、西部に進んで住み着いた人々は、そこに入植して社会を形成し、自分達に合った法体系を作っていたことが影響していると考えられます。
つまり、未開の地に集団で入植し、そこに村や町を作り、地域社会を形成しました。その社会では、人々が、もともとヨーロッパの社会で生活していた時の習慣に近い約束事を踏襲した法律を定め、その法制度を守る地域の保安官を決め、秩序を守るようにしていました。その制度で、最も重要な役割を担った制度が、「死刑制度」だったのです。
しかし、その死刑制度は、社会の秩序維持のためには、有効な法的手段として機能しましたが、裁判が公平に行わなければ、「無実の人を死刑にする」と言う、重大な誤りを起こします。「冤罪(えんざい)」です。米国社会の裁判制度は、一般市民が参加する「陪審制」を採用しているため、有罪か無罪かを決定するのは、判事ではなく、陪審員です。これは、裁判の判決を誤らせる危険性を含みます。